インストローでは、女性が置かれた状況を改善し、開発政策をつくりかえていくうえで、適切な統計やデータが不可欠であることに注目し、女性を重視した統計、指標、データの作成など、「女性と統計」に関する活動が重視されてきた。
これまで見過ごされがちであった女性の経済活動への寄与を測定する方法を積極的に開発するための調査・統計研究は、ジェンダー統計の基盤となる研究であり、国連や各国の統計の改善に寄与してきた。
とくに、途上国を中心とした女性のインフォーマル・セクター(非公式部門)での労働や、農村部での生産活動、無給の家族労働、家事労働などを目にみえるものにしていくための国際比較が可能な時間利用調査など、その測定と分析方法の改善に取り組んでいる。
インストローでは、世界規模での国別、地域別の女性の経済活動の調査など、女性に関する新たな統計データの作成と既存の概念枠組の再検討が行われ、研究と実践を結びつけた参加型の訓練(ジェンダー・トレーニング)が重視されている。
これらは、開発政策や計画の主流に女性を取り込もうとする試み(「ジェンダーの主流化」)であるが、各国専門家の間には、未だ無関心や抵抗感もあり息の長い地道な取り組みが必要である。
今後の課題としては、女性の地位向上を目指すNGOなどの民間組織との連携、開発途上国それぞれの地域性、社会的背景に配慮した、より充実したジェンダー統計の作成の検討などがあげられる。
また国連の行財政改革に伴って、インストローをユニフェムに合併させようとする動きがあるが、女性の地位向上を目的とした国連機関がもともと少ないだけに、国連における女性問題への取り組みの後退が懸念されている。
犬やペットの専門家・高橋ナツコ