排泄のしつけがうまくいかないとこぼす人に聞いてみますと、どうも最初迎え入れた日に、十分犬と接触する時間がないとか、留守にする時間が多かったという例が少なくありません。
人間が、はっきり教え込まないで、子犬に排泄の良否を判断させようというのは無理というものです。
まず一犬のいる部屋の片すみにビニールの上に新聞紐を敷いておくとか、子犬が自由に出入りできる浅い洋服箱のようなものに新聞紙を敷いそ、排尿、排便をしてよい場所を作ってやります。
子犬は寝て起きたときや、食事の直後に排泄することが多く、排尿は二時間ぐらいの間隔があるのが普通ですから、床の匂いをかいで、くるくる回り、尾を上げて排尿姿勢をしたら「おまち」と声をかけて、すかさず抱き上げて新聞紙の上にのせます。
元気な子犬は、抱かれたことで、うれしくて新聞紙の上で遊んだり、人に近づいてきたりして、排尿をしばらく中断してしまうこともありますので、繰り返し排尿するまで「シイシイ」とか「おしっこよ」と声をかけて、うながしながら待ちます。
三分か、長くても五分ぐらい根気よく待つことがたいせつで、ここで短気をおこしてしまってはいけません。
新聞紙の上でしたら、「いいこね、いいこね」と声をかけて、なでながらほめてやることがコツです。
子犬の排尿を見張っている時間がないという人は、室内犬舎の前にサークルを作って新聞紙を敷きつめておき、だんだんと新聞紙のスペースをせばめていき、覚えたらサークルを開放します。
排泄の場所の新聞紙は、全部捨てないで尿のついた部分を一部とっておいて、新しい新聞紙の上へおいて臭いを残しておくか、尿がしみ込まないうちに、ティッシュペーパーでふきとっておけば臭いが残り、その場所にするようになります。
新聞以外の場所にそそうしたときは、きれいにふきとったうえ、消毒薬や、肩こり用のスプレー液や、オーデコロンなど、刺激臭や強い臭いの液をまいて、尿の臭みを消すようにしておくのが効果的です。
排便のほうは、回数も少なく、姿勢を示してから余裕がありますので、よごされる心配は、尿の場合よりは少ないでしょう。
一般に排尿の場所のしつけよりも、排便のしつけのほうが時間がかかりますが、いずれも飼主の根気と努力が成功の秘訣といえましょう。
他の場所にしたときは、鼻をその場所に近づけて「いけません」と強く叱り、覚えさせるのですが、これはタイミングがたいせつで、いつやったか不明のおしっこの痕跡を発見して、それを叱ったのでは効果がありません。
賞罰は、タイミングよくといわれるのは、このことです。
このほかに注意することは、排泄の場所が、犬のいる部屋と離れているときは、子犬ではその場所を認識するのに日時がかかり、うまくいきません。
部屋から出て廊下でさせたい場合は、まず室内で新聞紙にすることを覚えさせてから、これが完成しましたら、犬が各部屋や廊下など間取りを噛く認識した後で、排泄場所を徐々に廊下近くまで移動し、何日間かかけて目的の場所に設定するようにしなければなりません。
最近、アメリカから「おしっこのしつけをさせる液」が輸入されていますが、私は使用した経験がありませんので、効果のほどはわかりませんが、一応ためしてみる価値のあるものだ伽づと思います。
犬やペットの専門家・高橋ナツコ