だったらそのマスクをかけている時間はそれらしくすべてのことに忍耐してもいいではないか、と考え直してしまったわけです。
これにはおもわぬ副産物がありました。
忍耐力というものは不思議なもので、何も対象が結婚と限らず、他のどんな仕事や人間関係にも応用がきいて、ききめを発揮するようになったのです。
おかしなことですが私は学生たちに、
「先生は何でちっとも怒らないの。
なぜそんなに粘り強いの」
と、聞かれます。
別に神経がマヒしたわけでもありませんし、かといって歯を食いしばっているというわけでもありません。
カッコよく「耐える女になったのよ」というとおこがましいのですが、四十になって、二十年の結婚生活が教えてくれた忍耐力がモノを言って、「素面(ひためん)物」のパフォーマンスのコツをつかんだのではないか、と思うのです。
犬やペットの専門家・高橋ナツコ