洗濯機を回している最中に突然まだ洗濯するべきシャツがあるのを思い出し、つまんでポンと放り込んだ、つもりだったのです。
が、実際には皮表紙のメモ帳までが水の中。
慌てて取り出してすぐにエアコンの吹き出し口で乾して、スケジュールの全部をもう一度ペンでなぞった、つもりでした。
もちろんいくつもの分野でぎっしり予定が入っていますから、メモ帳の文字が消えたら困るのはわかり切っています。
だから真剣そのものの復元作業だったのです。
ところがその次の週の金曜の夜九時、友人で多忙な経営者でもあるS氏から電話がかかってきて言うではありませんか。
「T君とM君ともう三時間も例の仕事の件を話し、食べたり飲んだりもして、もうやることもなくなっちゃったよ。
いったい何があったの?」
何と、一行間違えてその次の日のところへ書き写したためだったのです。
犬やペットの専門家・高橋ナツコ